2019年2月5日火曜日

春を待ち



 昨日は立春。暦の変わる時は季節の変わる時。確かに暖かい日でした。雨も降った後で道行く人との立ち話も、気持ちよくなりましたね。という事。
 ところが家の中に戻るとその時着ていたセーターには焼け焦げが飛んでいました。そういえば、朝ストーブの熾火をおこして焚きつけた時に薪が爆(はぜ)って飛んでどこか焦げた匂いがしていたけれど、自分の服だったのだと、ちょっとゾッとします。化繊だったら怖い事です。
 そうこれは義母が編んでくれた編み返しの毛糸のセーター。もしかしたら一番最後にもらったものかもしれないです。あまり喜んだ顔をしなかった嫁だけれど、一目づつを編みながら嫁のあれこれを願ってくれていたのだと、技を引き継がなかったけれど、糸を引っ張って結べばなんとか直るかと考えます。
 お寿司も義母任せであった嫁ですが、味噌漬けの瓜の巻き寿司という新味は、これからの私の十八番になりそうで、どこかから「あんた上手になったねぇ」という声が聞こえてくるかと自分で言ってみます。むっつりと黙っている義母の息子は誉め言葉が下手すぎて、おだててやらせるということができない人らしい。恵方巻ではなく、初午稲荷でもなく、寿司飯が食べたくなるのは、義母の命日だからでしょうか。
 1月2月の我が家の先に逝ったものたちも、待ち望んでいた春を私に置いて行ってくれたのです。セーターも洗う暖かさがすぐそこまで来ているのです。

 

2019年2月1日金曜日

髪を切る



 2月1日になって、また夜明けの空を見ます。ほら今日は2月1日になったよ。あの朝、確かに意識はあったはず。2月になったらお家に帰ると年末から言っていたのだから。最期に喜んだ顔をしたのを私はみることができたように思うのです。
 ずっと病室で、貴女の帰る家はどこだろう。と思っていたけれど、月の世界でしょうか。育った家でしょうか。親の居るところでしょうか。自分で独立して戸籍も移す手続きまでしたところでしょうか。
 今日、私はまた少し髪を切りました。もうとっくに喪は明けたというのに、いつも姿を探している。でもすぐそばに居て、そしていづれは皆行くそういう世界で、今の私を、またいつも通りに応援してくれていると思うのです。