2015年10月29日木曜日

有難くて


 文庫番が、母の記録を書いているという知らせに、出版の折には送料もかかるだろうから、使って欲しいと一冊のファイルが贈られてきて、お互いの供養になればと有難く思うのです。
 あの、掘りごたつに温まりながら不自由な指先で一枚ずつの切手を整理していた姿。言葉が不自由であったけれども、鋭い感性と知性があって、そのもどかしさの中に、コレクションを続けていて、あれから40年は経つのでしょう。彼も亡くなり、そのご遺族さんからのお申し出。
 もったいなくて、これらを使ってしまっていいのだろうかと思うけれど、母の記録というのは実は、一人の生き方ではなく、繋がっている大勢の人達の生きてきた証。
 今回の本の中には、母の手紙や文章も多く入れてみました。そして父の手紙も。
あの頃を。文庫番も知らない月日を、母を、私たちを支えてくれていた大勢の人達。教えると言うのは実は教えられているのだと、父は言っていたのです。彼達の人生も断片として見えてくる本になっていれば、このお志しに報いたことになるのでしょう。
 

2015年10月23日金曜日

色校正が来ました


間もなく

 4月に一旦脱稿した文章なのですが、やっと本校了。出来上がりまでに時間がかかっています。
いろいろな問合せを重ねて梅雨に入り、返事を待って、やっと動き出し遅れに遅れたものですが、その後の校正で、出るわ出るわ文庫番の誤字脱字。
 再校、三校と重ねましたが、夢にも出ます。母の面影ではなく印字の列。その中に思い当たる誤字が浮かび上がってくる夢だなんて、試験前に一夜漬けの教科書の文字列の夢を見た時みたいでした。それでもあの頃は体力も気力もありました。
東京などと山梨との行き来の日にちの中に、赤ペンを入れていきましたが、まだまだ不安。
でも、本づくりは面白い仕事だと進めながら今回も思います。
 読みやすいい字体に趣のある色を選んでもらっています。
 長春色というのも初めて知りました。刷り上がりが楽しみです。
株式会社とは名ばかりの、家内労働で(社長兼務)、発送していく作業が間もなく始まるのでしょう。この数日の風邪気味も追いやって、体調整えていかないと。
 

2015年10月7日水曜日

感謝に満ちる秋


 この楓も種を付けていたのですね。いづれ飛んで行くのでしょう。明々後日の資料を作成しながら、穏やかに床に就きました。目覚めの気持ちの良い朝です。
 明けのカラスが鳴き交わし、村のお寺の6時点鐘が聞こえてきました。
そうなのです。いつも自分では大変だ、荷が重い、もうできない。そう思うような時にいつも支えてくれた人が居た。忘れてはいけないことなのだと思うのです。今ある事は過去を積み重ねて、それが資料作成の中に現れてきました。その時々は、精一杯に取り組んできたことが、不充分かと、未熟な考えだと思いながらも進んできていたことがなければ、ふり返る事もできないのです。
 畑で驚くほどの収穫物に、自分たちの足りない労働力や技術の下手さも感じるのですけれど、始めることが必ず終わりも見えてくる。ただひたすらに同じ単純作業を繰り返して、半日が過ぎたりするのですけれど、そこに喜びを見いだせるのです。
 十年を無駄にすることのない講演内容にしたいと、仕上げます。