2011年3月28日月曜日

西も東も解らない


菜の花や 月は東に 日は西に  この一句が私の人生を迷わせたのだろうと思い当たるのです。
与謝蕪村 国語の授業の次に理科の時間でもあったのでしょうか。小学校のある時点で、月は東に日は西に沈むのだと思いこんでいた時期がありました。天空の真ん中で、行き違いになる運命を菜の花が見ている句。
 こういう解釈もする子はいるかもしれません。今回の地震で、5メートル地盤が東に動いたと聞いた時に、そうだろう、そうだろうやはり“東洋は一つ”なのだと思ったりしたのですが、東とは太平洋側の事でしょうか。すっかり西も東も解らないのは、小学校の頃(恥ずかしい話かなり成長するまで)と変わりがありません。この大きな大地の力。多くのいのちを飲み込んだ津波。それらの力に畏敬の念をいだき、その悲しみを包みこんで生きていかなければならない、悲しみを慈しみながら、人生の芯として残された生者はいま居るのです。 西も東も解らない、けれど、生きている。慈悲。

0 件のコメント: