2014年6月19日木曜日

カモス・マッディーナ

カモス・マッディーナ(醸す・真手な)

大豆の若葉が茂る頃
稲の幼苗田んぼに根がついて
大麦畑の穂が首を垂れ
舞台に役者が出揃って

あぜ道の草刈る前の晴天に
からっと風の吹き通る
渓流のせせらぎは奏でられ
遥か味噌の故郷の流れの清冽思い出し
この恵まれた大道具
天地返しをいたします

力自慢が桶を蔵から運びだし
そっと中蓋取り外し
ぷつぷつと、そこに見える呼吸穴
玄米味噌は生きている

仕込んだそれぞれ、顔合わせ
声を合わせて、手をつなぎ
いのちを繋いでゆくのです
カモス、カモス、マッデイーナ

清らにさっぱり拭き清め
教えてもらった、知恵の技
先の人は、笹の葉っぱを平らに広げ置き
自然の力で封をして、いたずら菌を抑えたの
学んだことのその深さ、言葉で伝える責任に
いつかは、その世を作りたい
自然の力に導かれ、自分の技を愛おしむ
原子力に頼らない、誰にも不満のない世の中を

シナリオ組み立て麹菌、塩切り具合も健やかに
次代に渡せられるその時を、来る寒に待ち望み
出番を待ちましょ種味噌が
今年も夏を越していく

アリストファネスが笑ってた
若妻たちよ良くお聞き
どんな魔物も打ち酔わす
テナヅチ刀自の御台所
安寧の、ささめく麹の歌声が

カモス、カモス、マッディーナ

                                               マハラバ文庫 増田・大仏・レア

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