2017年3月10日金曜日

刺に守られ


 
 庭の川に面した側にホタルブクロがたくさん増えました。越してきて義母が川から飛び立つ蛍に手を合わせて拝んでいた事を思い出します。ホタルブクロの上に刺を出しているのは山椒なのですけれど、良い画像でないので、ご免なさい。明日はもっと焦点を合わせます。
 山椒の芽も、間もなくきりっとした緑で開いてくるでしょう。でもとても柔らかい芽です。その芽の出てくるところを守るように刺があるので、亡くなった義母が編んでくれたセーターがひっかかりました。
 こんな鋭い刺が芽を抱きかかえるように両側に腕を拡げているのだと、見入りました。
三月十日。義母の縁続きの母娘が門前仲町の防空壕の中で抱き合うように蒸されて死んでいたというその日です。
 語らずとも良かったのかもしれないけれど、本日の短歌の会で戦争の酷さを、歌った一首の説明をその経験者から聞きながら、義母が、その母娘を葬ったけれども、後になって行ってもどこだかわからなくなっていたという事を語っていたのです。歌の会には申し訳ない時間としてしまいました。
 あの下町大空襲のすぐ後に、行幸があるので、穢れを置いておけないと町内会で更にしてしまったという事。もしありのままを目にしていたら、その後の本土攻撃は無かったのではないかと。
義母も居なくなり、その頃をどう語ればいいのか。
今、見るべきものを見ないでいるのは誰なのか。

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